22年続いた人気長寿シリーズ映画「釣りバカ日誌」が、公開中の「釣りバカ日誌20 ファイナル」で終わる。加山雄三さんの「若大将」、寅さんの「男はつらいよ」などかつて盛んに作られたシリーズ映画も、この一作で最後。なぜシリーズものはスクリーンから消えるのか。【勝田友巳】
「釣りバカ日誌」第1作は、88年「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」の併映作品。96年の第9作から正式に一本立ちし、ほぼ年1作の割合で、特別版もはさみつつ22作が作られた。
三國連太郎さん演じる鈴木建設社長(シリーズ途中から会長)のスーさんと、西田敏行さんが演じる鈴木建設の平社員にして釣り名人、浜ちゃんのコンビが、全国の釣り場で騒動を繰り広げる。
シリーズの終了は06年、深沢宏プロデューサーらが出演者らと「20」までと決めた。深沢プロデューサーは「興行成績は安定し、テレビ放送でも好視聴率を期待できる。ファンの支えもあった。しかし、映画としてやり尽くした感もあり、ダラダラ続けるより、区切りをつけるべきだと考えた」と話す。
「釣りバカ」のように、同じ俳優が同じ役を演じ続けるシリーズ物は日本特有で、70年代までは盛んに作られた。背景には、ブロックブッキングという日本独特の興行形態がある。
映画会社は系列の映画館に、作品を定期的に供給する義務を負う。70年代までは毎週のように新作が封切られ、形式の決まったシリーズものは重宝な存在だったのだ。こうした中で、「駅前」や「男はつらいよ」シリーズなど、数々の名作が生まれた。
しかし、複合型映画館(シネコン)の台頭でブロックブッキングは崩れた。現在の映画製作の主流は、多くの出資者が1回限りで集まる「製作委員会」方式で、“寄り合い所帯”のため、息の長いシリーズものは向かない。さらにキャラクターにぴったり合った俳優を見つけることが難しくなったうえ、観客の好みもより刺激的なものへと変わった。
映画評論家の大高宏雄さんは「『釣りバカ』は娯楽性が強く、芸術面での評価は高くなくても、固定客がいた。映画を見なくても、誰もが知っている貴重な存在。あるのが当たり前だったなじみの喫茶店が、突然閉店したようなもの」と終了を惜しむ。
深沢さんは「シリーズものは、現在の製作体制では難しい」と認めつつ、新たな鉱脈を探している。
「血や暴力がなく、肩がこらず家族で楽しめる安心安全な作品。そんな映画の役割は、終わっていないと思う」
◇日本映画の主な同一俳優による長寿シリーズ◇
タイトル 製作会社 主演 年代 作品数
「駅前」 東宝 森繁 久弥 58~69年 24作
「若大将」 東宝 加山 雄三 61~81年 18作
「クレージー」 東宝 クレージーキャッツ 63~70年 14作
「日本一の男」 東宝 植木 等 63~71年 10作
「男はつらいよ」 松竹 渥美 清 69~95年 48作
「トラック野郎」 東映 菅原 文太 75~79年 10作
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posted by イダ カズユキ at 17:55|
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